未曽有の少子・高齢化に医療の機能分化…。いろいろいわれているけれど、医療や介護関連の政策の具体像がいまひとつ固まり切らず、病院のかじ取りを決めにくい。だけどそんな中でも、自分たちの将来像をしっかりと描き、着実な一歩を踏み出している病院もある。東京オリンピックが開催される7年後、浮かび上がっている病院と、沈んでいく病院の違いは? 敏腕コンサルタントとベテラン医事課長が語り合った。【聞き手・構成 兼松昭夫】
●Bさん 関東地方の総合病院に勤務するこの道30年余りのベテラン医事課長。
―本格的な高齢化を目前に控えて、病院運営が厳しさを増しているといわれます。これから注意が必要なのはどういう病院でしょうか。
A 7年後というキーワードは別にして、病院運営を安定させる上で大切なのが、しっかりとした中長期計画を作ることでしょう。現在は、都市部を中心に高齢化がどんどん進む途中の段階です。こうした変化に対応するため、自分たちのプランに沿って患者やドクター、看護師を集められる病院は今後も生き残れると思う。
まずいのは、中長期的なプランを持たないまま診療報酬改定に左右されて走るケース。中には、「新しいドクターが来たから」とか「ドクターから要請を受けたから」とか、あいまいな理由で身の丈に合わない最新設備を導入したりする病院もある。地方のある市立病院では、ドクターの意向をくんで大規模な治療センターをつくったはいいけど、人手が足りず病院運営できないからと、すぐにやめちゃった。これなんかは無用な過大投資の典型例だ。
(残り4217字 / 全4899字)
この記事は有料会員限定です。
有料会員になると続きをお読みいただけます。
【関連記事】