8年ぶりに改訂される「胃がん検診ガイドライン」。今年2月に慢性胃炎にも保険適用されたことで注目されたヘリコバクター・ピロリ菌の抗体検査や、普及が広がる内視鏡検査は、いずれも「(自治体が公共サービスで実施する)対策型検診としては推奨しない」という結論に達した。今年度末に確定版が公開される予定だが、一部の医師からは、発見率が考慮されていない、現場の感覚とずれているなど、疑問の声が上がっている。厚生労働省研究班により構成されたガイドライン作成委員会の祖父江友孝委員長(大阪大大学院医学系研究科教授)に、今回の結論に至った経緯や考え方について聞いた。【聞き手・坂本朝子】
そもそも、ガイドラインの作成は、IOM(米国医学研究所)からもレポートが出ているように、標準的なやり方が確立されています。グローバルスタンダードに合わせて行うのが原則です。
まず、文献レビュー委員会が、システマティックレビューで、雑誌に掲載された論文を系統的に集め、選択の過程をきちんと記述できるように明らかにした上で、質の高い研究を選択し、まとめるという作業を行い、エビデンスレポートを作ります。
それを基に、ガイドライン作成委員会が、ある一定の判断基準を持って推奨を決めていきます。その際に、利益と不利益のバランスを考えます。不利益の場合は単独では論文にはなりにくいので、学会の報告書などいろいろなデータを集めます。そして、利益が不利益を上回るということがかなり確実に言えるのか、ちょっと不確かなのかで、推奨グレードを決めます。
このように、ガイドライン作成のやり方は確実に決まっています。それを逸脱するやり方はほとんどしません。
(残り3808字 / 全4523字)
この記事は有料会員限定です。
有料会員になると続きをお読みいただけます。
【関連記事】
【関連キーワード】