厚生労働省は29日の中央社会保険医療協議会の総会に、精神病床の入院患者の在院日数を短くし、早期の社会復帰を促すために、精神科急性期治療病棟入院料の算定で、医師の重点配置などを評価する見直し案を示し、了承された。同省は見直し案に、早期退院への意識付けを明確にするクリニカルパスを評価することも盛り込んだ。【君塚靖】
厚労省の「精神障害者に対する医療の提供を確保するための指針等に関する検討会」は、入院医療中心の精神医療から地域生活を支えるための精神医療を実現するための方向性として、▽急性期の患者に手厚い医療を提供するために、医師、看護師などの配置を充実▽1年を超えないうちに退院できるよう、多職種による退院支援の推進―などを打ち出していた。 現在、精神科急性期治療病棟入院料を算定する場合、医師の配置は精神療養病棟入院料と同じ48対1を求めているが、見直し案では、より重点的な配置を求める。クリニカルパスの有用性について厚労省は、治療の標準化により、病態に応じて多職種が何にアプローチしているか理解しやすく、治療方針が共有できるようになったり、退院に向け地域サービスがスムーズに利用できるよう病院職員、患者・家族、介護職員などが連携を図りやすくなったりするなどと説明した。 長瀬輝諠委員(日本精神科病院協会副会長)は、「クリニカルパスの導入は早期退院につながるので、見直し案は容認できるが、医師の配置とクリニカルパスを一緒に充実させることは、すぐにはできないので、時間が欲しい」などとして、経過的な措置が必要だと強調した。 今回の要件見直しは、精神病床の機能分化の一環でもある。急性期を担う精神科病棟で医師の重点配置を進める一方、精神療養病棟では、人員要件を緩和する。精神療養病棟入院料を算定する病棟について、病棟ごとに常勤の精神保健指定医を配置する要件は削除する方針。
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