「あんまりいっぱい言うたら先生困るやろ?」「かまへん、かまへん、何でも言うてや」-。患者はおもむろに2つの目薬を取り出し、どう使い分けたらよいか尋ねた。往診現場でのやりとりだ。大阪を中心に調剤薬局を経営するファルメディコの社長で医師の狭間研至さんは、10年以上も前から薬剤師が同行する在宅医療を続けている。「外来は、よそ行きの格好で、よそ行きの話をするところ。患者さんのお宅を訪問すると、いろいろなものが見えてくる」と言い、薬剤師と一緒に往診現場に行く意義は、薬を渡した後のフォローアップにあると強調する。ある秋の1日、狭間さんらの往診現場に密着した。【坂本朝子】
狭間さんは言う。「薬剤師は薬を渡すところで仕事が終わっていると思っているが、本当は薬を渡した後からが勝負。薬を配達したり、管理したり、整理したりするだけが、薬剤師の仕事ではないのです」。そこを認識しないと、調剤薬局が在宅医療に取り組むのは難しいと指摘する。
では、薬を渡した後からの薬剤師の仕事とは、具体的には何をするのだろうか。
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