中央社会保険医療協議会(中医協)の総会が20日開かれ、看護配置が手厚い7対1と10対1入院基本料の特定除外制度を、2014年度の診療報酬改定で原則廃止することを決めた。ただ、診療側はがんなど入院による継続的な治療が必要な患者への配慮や、一定期間の経過措置の適用も求めており、引き続き調整を進める。この日は、12年度改定で行った要件見直しの影響で7対1入院基本料を算定できなくなった病院への経過措置の廃止や、13対1と15対1の特定除外制度を復活させないことも決定した。【兼松昭夫】
特定除外制度は、本来は診療報酬の減額対象になる長期入院(90日超)の患者でも、難病など12項目のどれかに該当すれば減額を回避できる仕組み。12年度改定では、看護配置が手薄な13対1と15対1でこの制度を廃止。これに代わり、長期入院の取り扱いについて、▽一般病棟入院基本料を引き続き算定できるが、平均在院日数の計算対象に含める▽医療区分やADL区分を用いた「療養病棟入院基本料1」と同じ評価にするが、平均在院日数の計算対象には含めない―のどちらかを医療機関が病棟単位で選ぶ形にした。
厚労省側は、7対1と10対1についても、14年度改定でこれと同じ取り扱いにすることを提案していたが、診療側はこれまで、「7対1の長期入院患者の状態は、ほかの病棟と全然違う」などとして反対していた。
20日の総会で中川俊男委員(日本医師会副会長)は、「(7対1と10対1には)いろいろな事情で転院・転棟できない患者さんが多い。完全廃止は厳し過ぎる」と指摘。しかし、厚労省保険局の宇都宮啓医療課長が「これから入院医療の機能分化を進める方向にあると認識している」と理解を求めると、「結果として了解する」と歩み寄った。
鈴木邦彦委員(日医常任理事)は、「原則13対1と15対1と同じ形にするとしても、継続的な入院治療が必要な方への対応は考えていただく必要がある」と述べ、1年間程度の経過措置の適用を求めた。
厚労省はこの日、特定除外制度の見直し後も一般病棟入院基本料を算定し続ける場合、50床の病棟に長期入院の患者が2割を超える11人いても、残り39人の平均在院日数が14日なら、全体の平均在院日数を7対1の算定要件である「18日以内」に抑えられるとの試算結果を提示した。
同省によると、7対1を算定するDPC対象病院の平均在院日数(特定除外患者を除く)は14日を割り込んでいるといい、宇都宮課長は試算の結果を「かなり余裕がある状況」と説明。仮に長期入院の患者をこの範囲に収まらないだけ受け入れているなら、亜急性期や慢性期などへの移行を選択すべきだとの認識を示した。
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