中央社会保険医療協議会(中医協)は15日、総会を開き、2014年度診療報酬改定に向けた個別事項の議論を開始した。この日は、がん医療のさらなる均てん化と、特定領域の診療機能を集約化する体制を評価する方向を確認した。また厚生労働省は、がん患者の苦痛や不安を軽減するために、看護師などの専門家による継続的な介入を評価する案を提示した。【君塚靖】
がん医療は、厚労省が社会保障審議会に提示した14年度報酬改定の基本方針の骨子の中に、充実が必要で適切に評価する分野の1つとして挙げられた。このほかの個別事項には、▽精神疾患▽認知症▽リハビリテーション▽救急医療―などがある。同省は年末にかけて、中医協総会でそれぞれの個別事項での評価の具体案を提示していく。 厚労省は、全国どこでも標準的ながん医療を受けられるようにするために、がん診療連携拠点病院(拠点病院)を全国344か所ある二次医療圏に原則1つ整備してきたが、依然として拠点病院のない、いわゆる空白の医療圏が107存在する。そこで、それらの医療圏に対し、拠点病院より指定要件を緩やかにした「地域がん診療病院」を整備する方針。また、高度な診療機能を集約化するために、特定のがん種で多くの診療実績のある医療機関を「特定領域がん診療病院」に指定していく考えだ。 がん医療の評価については、12年度改定でも充実が図られ、「がん診療連携拠点病院加算」は、改定前は別の医療機関で、がんと診断された紹介患者が入院した時のみ評価していたが、がんの疑いでの紹介や入院には至らず、外来化学療法などを受けた場合でも算定できるように変更した。厚労省は、これから整備する「地域がん診療病院」や「特定領域がん診療病院」でも、同じように評価する考えだ。 ■がん患者の苦痛・不安に対応
厚労省はこの日の総会に、がん患者の身体的・精神的な苦痛や将来への不安などに対して、看護師や薬剤師といった専門家の継続した介入を評価する案を示した。現行の「がん患者カウンセリング料」は、患者1人につき、原則1回算定できるが、継続した介入は評価していない。同省は看護師の継続的な介入により、不安やうつ症状の改善などが期待され、薬剤師の抗がん剤管理により、副作用の予防・改善につながるとしている。
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