厚生労働省は13日の中央社会保険医療協議会の総会で、2014年度の診療報酬改定に向けて「総合入院体制加算」を同加算1と2に分け、三次救急医療を24時間体制で提供しつつ、人工心肺を用いた手術件数や放射線治療などで一定の実績を持つ急性期病院の評価を手厚くする案を示した。現在、同加算を届け出ているのは248病院(昨年7月時点)あり、療養病床を持つケアミックス病院も含まれる。そうした病院にも、現行の加算の届け出は引き続き認める一方で、手術などの実績を手厚く評価する加算は、「亜急性期入院医療管理料」や「療養病棟入院基本料」を届け出ない病院のみに認め、急性期医療に特化させる。【佐藤貴彦】
厚労省の案が求める実績要件は、現行の施設基準に加え、▽人工心肺を用いた手術40件▽腹腔鏡下手術と分娩件数100件ずつ▽悪性腫瘍手術400件▽放射線治療(体外照射法)と化学療法4000件ずつ-以上の年間実績をすべて満たすこと。現行の施設基準には、救急患者の受け入れや調剤、画像診断・検査などを24時間実施できる体制の確保などのほか、実績要件として、全身麻酔による年間手術件数800件以上がある。
集中治療室(ICU)で急性心不全などの患者を治療した際に算定可能な「特定集中治療室管理料」でも、より充実した体制を評価する。現在は、ICUの専任医師1人や看護配置2対1以上を求める同管理料1と、広範囲熱傷特定集中治療を行える体制も求める同管理料2があるが、同管理料3を創設。医師の複数配置や臨床工学技士の24時間勤務体制などで、密度の高い診療体制を構築する病院の評価を充実させる。
また、新生児特定集中治療室(NICU)や総合周産期特定集中治療室の評価も見直す。現行は、「新生児特定集中治療室管理料」などを算定できる日数が、患者の出生時体重で異なり、1500グラム以上だと短く設定されている。ただ、1500グラム以上で生まれても、先天奇形を合併している場合などはNICUなどでの治療が長引く傾向にあるとして、算定可能日数を引き上げる。また、治療が長引く傾向にある患者の受け入れ割合も、評価の対象に組み入れる。
中川俊男委員(日本医師会副会長)は、総合入院体制加算の評価で機能分化を進める方向性について、「病床機能報告制度に基づいて全国で(14年度中に)策定しようとしている地域医療ビジョンが、診療報酬の要件の後追いになってはいけない」とけん制した。また万代恭嗣委員(日本病院会常任理事)は、特定集中治療室管理料について、臨床工学技士の24時間勤務体制を要件にすると、人材の奪い合いを引き起こしかねないとして、「時期尚早。こういう体制を取る方向で動くとしても、段階的にすべきではないか」と述べた。
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