中央社会保険医療協議会は1日の総会で、「一般病棟7対1入院基本料」など入院医療の取り扱いをめぐり、診療側と支払側が激しく意見を戦わせた。7対1の病棟に90日を超えて長期入院する患者への「特定除外制度」を廃止する方向性に対し、支払側が「長期入院患者は7対1にそぐわない」などと賛意を示した。しかし診療側は、「7対1の長期入院患者の状態は、ほかの病棟と全然違う」などと反論。「亜急性期入院医療管理料」の要件に二次救急の指定を加えることにも強く反対した。両者の議論は平行線をたどり、森田朗会長(学習院大教授)が「後日改めて議論の機会をつくる」と引き取った。【兼松昭夫】
最終取りまとめに盛り込まれた7対1関連の内容は、▽2012年度診療報酬改定での厳格化でこの点数の要件をクリアできなくなった病院への経過措置を、予定通り来年3月末で終了▽長期入院(90日超)の「特定除外制度」を廃止-など。
一般病棟入院基本料の算定病棟に長期入院する患者の診療報酬は、極端に点数が低い「特定入院基本料」を算定する仕組みだが、「難病」など12通りの特定除外項目のどれかに該当すれば、減額を回避できる(特定除外制度)。12年度報酬改定では、看護配置が手薄な13対1と15対1でこの制度を廃止。分科会の最終取りまとめでは、病床の機能分化を進める観点から、制度の廃止を「継続することが妥当」とした。
また、亜急性期病床を増やすため、亜急性期入院医療管理料の算定の届け出を現在の「病室・病床単位」から「病棟単位」に切り替えたり、亜急性期病床による在宅患者の緊急受け入れを促すため、同管理料の算定要件に「二次救急病院の指定」を加えたりすることも提案した。
1日の総会で白川修二委員(健康保険組合連合会専務理事)は、「特定除外制度を悪用していると言えば言い過ぎかもしれないが、不適切な例も含まれているのではないか」などと述べ、13対1と15対1での特定除外制度を復活させないことに賛意を示した。また、「経過措置型7対1」を来年3月末に終了させることも支持。専門医が少なかったり、十分な設備がなかったりして重症患者を受け入れられない病院は、7対1を退出すべきだとの認識を示した。
■亜急管の要件に二次救急指定は「最悪の提案」
これに対して鈴木邦彦委員(日本医師会常任理事)は、特定除外制度について、「すべてを廃止するのは無理」と慎重な対応を求めた。中川俊男委員(日医副会長)は、亜急性期入院医療管理料の要件に「二次救急病院の指定」を加えると、在宅で体調を崩した高齢者が急性期病院にアクセスしにくくなる可能性を指摘。「『後期高齢者診療料』の何倍も差別感が強い。最悪の提案だ」と強く批判した。
後期高齢者診療料は、08年度報酬改定に伴い導入されたが、医療機関側の対応を患者の年齢によって変える仕組みに批判が集まり、2年後に廃止された。
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