中央社会保険医療協議会(中医協)の総会が30日開かれ、療養担当規則を改正し、患者紹介ビジネスを禁止することに多数の委員が賛同した。厚生労働省は、同ビジネスで、患者が医療機関を自由に選べない事態が発生していることなどを重く見て、前回総会で提案していた。【丸山紀一朗】
同省が中医協に提案したのは、診療報酬の引き下げによる規制や、療担規則改正で、医療機関が患者を紹介する仲介業者に紹介料などを支払うことを禁止する方法。同規則に違反した場合は、保険医療機関の指定取り消し事由に該当する。同省は、同規則を改正した場合の在宅医療現場への影響を調べた上で、2014年度の診療報酬改定に間に合わせたい考えだ。
30日の議論で、堀憲郎委員(日本歯科医師会常務理事)は、「(同ビジネスを)療担規則改正で規制することは、診療報酬の引き下げなどによる規制よりも本質的だ」と述べた。これは、点数引き下げが、適切な訪問診療を行っている医療機関を委縮させる恐れを考慮した発言だ。また、矢内邦夫委員(全国健康保険協会東京支部長)は、医療機関が公費である診療報酬から患者の紹介料を支払うことは不適切とした上で、「療担規則を速やかに改正してもらいたい」と求めた。これらの発言に、多数の委員が賛意を表明。同規則の改正に反対意見はなく、中医協はこれを承認した。
さらに、鈴木邦彦委員(日本医師会常任理事)は、療担規則で医療機関側を規制できても、仲介業者や、業者に患者を紹介する高齢者施設を、直接に規制できない点を指摘。この意見に同調したほかの委員からは、「仲介業者も規制してもらいたい」「紹介料を受け取っている施設に規制がないことも問題」との発言があった。鈴木委員は、包括的に、実効性ある方法で同ビジネスを禁止する必要性から、「厚労省全体やほかの省庁も含めた規制を」と述べた。
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