「医療否定本って、どの本を指しているのですか、という感じですね」―。慶大病院放射線科の近藤誠医師は、一部の医療者が、近藤氏の著書「医者に殺されない47の心得」（アスコム）を医療否定本と呼び、非難していることについて、まったく意に介していない。昨年12月発行後の販売部数は100万部を超えた。世の中の反響の大きさについて近藤氏に聞こうと、取材を申し込むと、「朝7時に慶大病院に来てください」と連絡があった。【聞き手・君塚靖】

　慶大病院は、東京・新宿に近いJR信濃町駅の目の前にある。約束の時間の少し前に着くと、総合入口の自動ドアは閉まったままだった。その右横の救急外来口で、しばらく待っていると、「おはようございます」と後ろから声が聞こえた。振り向くと、近藤氏本人が立っていた。近藤氏は、来年3月に同病院の定年を迎える。1973年に勤務し始めて以来40年間、ほぼ毎朝6時に出勤し、国内外の論文を読み込むなど、がん研究を続けている。8時半からは、外来診療の時間が始まる。

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