財務省の財政制度等審議会・財政制度分科会で、委員から来年度診療報酬の改定率をプラスにすべきではないとの意見が出たことに対し、日本医師会の中川俊男副会長は23日の記者会見で、「マイナス改定はあり得ない」と反対した。【松村秀士】

　21日開催の同分科会で、財務省が提出した社会保障に関する来年度予算編成の課題などを盛り込んだ資料では、次期診療報酬の改定率引き上げによる国民の負担増を指摘。また、薬価改定で生じた財源を使って診療報酬本体を増額するのは適当ではないなどとした。議論では各委員から、診療報酬本体をプラス改定にする必要はないなどといった声が上がった。

　同分科会を受けて中川副会長は会見で、「政府は保険外併用療養の拡充を目指しているが、そのためには保険診療も充実させなければならない」とし、診療報酬のマイナス改定は「あり得ない」と強調。政府が成長戦略を推進するには、医療や介護への財源投入は不可欠との考えを示した。

■「新薬創出加算について大局的に議論する」

　26日に中央社会保険医療協議会委員の2期目が満了する嘉山孝正・全国医学部長病院長会議相談役に代わって、中川副会長が委員に就任する見込みとなった。会見で中川副会長は、「かつて私が中医協委員だった時は、薬価維持特例（今の新薬創出・適応外薬解消等促進加算）について製薬協（日本製薬工業協会）の専門委員と議論を交わした」と当時を振り返った。その上で、「現時点において新薬創出・適応外薬解消等促進加算は医療全体の規制緩和や規制改革の中の1つの重要な分野であり、大局的な視野で議論していきたい」と抱負を語った。

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