東京都済生会中央病院は、専用病床でホームレス患者の病気を治療し、元の健康な生活に戻す取り組みを行っている。そこには、分け隔てなくあらゆる人々に医療・福祉の手を差し伸べるという「済生の精神」が色濃く反映されている。「生活困窮者を支援することはミッション」という同院の取り組みを取材した。【松村秀士】
社会福祉法人恩賜財団済生会は1911年、「生活に困窮して医療を受けられない人々にも救いの手を差し伸べるように」という明治天皇の勅語により設立された。戦前までは無償診療を行い、医療面で人々の生活保護の役割を担っていた。100年以上を経た現在、全国に79の済生会病院を運営し、「済生の精神」を理念に、医療や福祉活動を行っている。
その中核的施設となっているのが、東京都港区にある済生会中央病院だ。同院は15年に本部直営の基幹病院「恩賜財団済生会芝病院」として開院。50年に済生会の組織変更により、「東京都済生会」に移管され、産院を合併して今の名称になった。現在は535の病床を有し、一日平均1200人以上の外来患者が来院。急性期や二次・三次救急医療、生活保護医療などを行っている。
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