中央社会保険医療協議会の総会が9日開かれ、厚生労働省は、中小病院や開業医の主治医機能を強化するため、糖尿病や認知症など複数の慢性疾患を抱える患者に24時間体制で対応したり、健康相談に応じたりする取り組みを、来年度の診療報酬改定で評価することを提案した。高齢化の進展につれて慢性疾患の患者が増えると同省では見込んでおり、患者が比較的アクセスしやすい中小病院と開業医に主治医の役割を担わせる。これらのサービスの提供をパッケージにして評価する包括点数の導入を想定している。
主治医の具体的な役割として同省は、▽在宅医療の提供や24時間体制での対応▽服薬管理▽健康管理▽「居宅療養管理指導料」など介護保険サービスの活用―などを挙げた。糖尿病や認知症、高血圧症、脂質異常症といった慢性疾患を、複数抱える患者を対象に想定している。宇都宮啓医療課長は総会の席上、健康管理も含めた主治医の取り組みを評価するなら、「必ずしも出来高ではない評価の形もあると思う」と述べた。
同省の提案によると、主治医の役割のうち服薬管理では、患者が通院している医療機関や処方されている医薬品をすべて把握し、管理することを求める。健康管理では健康診断や検診の受診を勧めたり、禁煙を指導したりする。健康相談にも応じる。中医協委員からは、より専門的な医療機関との連携を役割の中に書き込むべきだといった意見もあり、引き続き内容を話し合う。
意見交換では、主治医の役割に対する評価を充実させること自体への反対意見はなかった。白川修二委員(健康保険組合連合会専務理事)は、包括点数の導入について、「そういう方向がよろしいと思う」と述べた。西澤寛俊委員(全日本病院協会長)は、開業医の負担増につながりかねないことへの懸念を表明した。
2008年度の診療報酬改定では、75歳以上の患者の慢性疾患を継続的に管理する医療機関に毎月一律600点の算定を認める「後期高齢者診療料」を導入した。後期高齢者医療制度の創設に合わせた措置だったが、医療機関側の対応を患者の年齢によって変える仕組みに批判が集まり、10年度に廃止された。今回の提案では、年齢による区分は設けていない。【兼松昭夫】
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