河北総合病院(東京都杉並区)の1階の「相談室」では毎週水曜日、ファイナンシャル・プランナー(FP)が「金融コンシェルジュ」として、お金に関する悩みの相談を患者やその家族から受け付けている。日本ファイナンシャル・プランナーズ協会(日本FP協会)は、医療機関内への金融コンシェルジュの設置を促しており、同病院がそのパイロット・プロジェクト(試験導入)の受け入れ医療機関に名乗り出た。金融関係の悩み相談をFPらが受け付ける取り組みは、医療界に普及するのか-。【佐藤貴彦】
金融コンシェルジュに期待される役割は、お金に関する悩みを抱える医療・介護サービスの利用者らの相談に、中立的な立場で応じ、解決に向けた初動を手助けすることだ。日本FP協会が金融コンシェルジュの普及を進めるきっかけは、金融機関の団体などで構成する金融庁・官民ラウンドテーブルの「高齢化社会と金融サービス」作業部会での議論だった。
同部会が5月までに計8回の会合を経てまとめた報告書は、医療・介護サービスの利用者やその家族の多くは、金銭面の悩みを抱えていると指摘。その例として、医療費を捻出するための家計のやりくりや、資産運用、保険金と給付金の受け取り、相続などを挙げた。こうしたニーズは、今は潜在的だが、金融コンシェルジュが普及すれば顕在化し、医療機関のサービス向上にも貢献するとしている。
また、金融コンシェルジュは、あくまで中立的な立場だと強調。具体的に、▽個別の金融機関や金融商品・サービスの選択▽税務・法務に関する個別業務▽不動産の個別取引-などについては、助言したり代行したりさせない方針を明記した。
金融コンシェルジュの設置を全国の医療機関に広げていくため、まず日本FP協会が、期間限定のパイロット・プロジェクトを、協力を申し出た河北総合病院で始めることになった。
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