医療現場では、他施設と意見を交換する機会が少なく、医療安全の取り組みも施設ごとに数人で当たることが多い。業務の性質上、悩みやストレスを抱え込みやすく、時に院内で孤立することもある。そこで、病院の規模にかかわらず、地域全体で医療安全や医療事故の情報を共有しようと、近畿大学医学部附属病院(大阪府大阪狭山市)の呼び掛けに応じ、「南大阪医療安全ネットワーク」が発足した。8月末に同院で開催された「Kick Off Meeting」には、48施設から100人近い参加者が集まり、発足の目的や活動内容の発表、医療安全にまつわる講演に耳を傾けた。【坂本朝子】
1年ほど前から、近畿大病院をはじめ、大阪府内のベルランド総合病院(堺市)、大阪南医療センター(河内長野市)、PL病院(富田林市)、富田林病院(同)、耳原総合病院(堺市)、市立堺病院(同)、大阪労災病院(同)の8施設で、ネットワーク発足に向け会合を重ねてきた。話し合いの結果、この8施設を暫定的に幹事病院とし、当初は近畿大病院が代表幹事を務め、順次交代制とし、幹事病院は随時、追加や変更をしていく方針に決まった。
参加施設は、「まずは近隣で、話し合いやすいところからスタートとしよう」と考え、堺市二次医療圏と南河内二次医療圏の有床医療機関に呼び掛け、48施設でスタートすることになった。辰巳室長は、「現状はこのように南大阪地域の有床施設に限定したが、別にほかの地域や無床の医療機関に対して敷居を高くする気はない」とし、今後、同ネットワークが拡大していく可能性を示した。
当面の活動内容としては、まずメーリングリストを作成。事務局で質問を受け付け、質問者に意向を確認した上で、事例や対応方法を共有する仕組みをつくる。また、ホームページを作成し、医療安全情報を提供する。さらに、年に1、2回の情報交換会や事例報告会の開催、定期的な研修会の実施なども検討しているとした。
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