厚生労働省は、薬事承認のない抗がん剤を使用した最新の医療技術を対象に、先進医療制度の運用見直しの具体化を進めている。最新技術と保険診療の併用を認めるかどうかは現在、省内の「先進医療会議」で技術の妥当性などを審査した上で決めているが、保険診療と早く併用できるようにするため、医療上の必要性が高いと認められた抗がん剤については、専門的な評価体制が整っている外部の機関に審査を速やかに委託する。医療機関が先進医療の実施を申請してから保険診療との併用が認められるまでには、現在はおおむね6-7か月かかっているが、見直し後は、この期間のおおむね3か月までの短縮を目指す。
見直し案によると、外部機関はがん治療に高度な知見があり、先進医療の実施を申請した医療機関への監査を実施できることなどが条件。同省では、医療機関を実際に運営する法人を外部機関に想定している。
現在の先進医療の枠組みでは、医療機関からの申請を受けて、先進医療会議がそれぞれの技術や、それを実施する医療機関の体制、実施計画が適切かどうかを判断している。これに対して見直し後は、学会などの要望を踏まえ、同会議が対象となる技術をあらかじめ選定、その技術を実施できる医療機関群も設定しておく。医療機関が申請した実施計画を外部機関が審査し、それが適切なら保険診療との併用が認められる。外部審査の具体的な運用は同会議で話し合い、中医協総会に報告する。
外部機関の審査対象になる技術は、省内の「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」が、医療上の必要性が高いと認めた抗がん剤を使うことが前提。
厚労省は当初、▽企業に開発を要請してから1年たっても、治験に着手されなかった未承認薬と適応外薬▽開発企業を公募してから1年たっても、開発の申し出がない未承認薬-を使用するものを対象に想定していたが、開発要請や公募後の1年間のブランクを埋めるため、医療上の必要性が高いと認められたらすぐ外部機関の審査対象にすることを新たに提案した。抗がん剤へのアクセスの改善を求める声が多いため。
先進医療の規制緩和は、政府が2010年6月に閣議決定した「新成長戦略」に盛り込まれた。また厚労省は今年6月、最先端の医療をできるだけ早く安全に受けられるよう、「最先端医療迅速評価制度」(仮称)を創設する方針を示していた。【兼松昭夫】
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