O157などの腸管出血性大腸菌感染症が全国的に流行する中、高齢者や児童の死亡や、溶血性尿毒症症候群(HUS)を発症して重症化するケースが相次いでいる。主に保育園や高齢者施設で集団感染が発生。医療機関の院内感染の報告は今のところないが、5年前に長崎市内の病院で数十人規模の集団感染が発生していることから注意が必要だ。医療機関や高齢者施設における予防方法やその課題を探った。【新井哉】
「高齢者施設において、腸管出血性大腸菌の感染による死亡事例が発生した。患者届け出数は近年で最も多い数」―。群馬県高崎市内の有料老人ホームで今月3日に90歳代の女性入所者が死亡。この事態を重く見た県健康福祉部は7日、腸管出血性大腸菌の食中毒注意報を発令した。
腸管出血性大腸菌感染症は、大腸菌が産生した毒素によって出血を伴う腸炎などを発症する。O157やO111、O26などに分類され、感染後3-8日の潜伏期を経て腹痛や水溶性の下痢を起こす。菌の出すベロ毒素が腎臓の毛細血管内皮細胞を破壊するHUSになった場合、急性腎不全や尿毒症を発症し、重症化や死亡の可能性もある。
(残り1688字 / 全2180字)
この記事は有料会員限定です。
有料会員になると続きをお読みいただけます。
【関連記事】
【関連キーワード】