数年前から始まった「ゆるキャラ」ブームは、下火になるどころか、ますます盛り上がり、日本全国を席巻している。もちろん、医療の現場だって例外ではない。その「ゆるかわいい」姿で、患者さんや院内スタッフの心を癒やし、広く市民の健康意識を高め、さらには学生ガイダンスの広告塔になりと、病院ゆるキャラたちの活躍は八面六臂(ろっぴ)だ!
そんなキャラクターたちを全国から集め、一挙に紹介。愉快なプロフィルや多彩な活動ぶりをのぞいてみよう。【烏美紀子】
長崎、離島、医療とくれば、次は当然、ドクターヘリ。国立病院機構長崎医療センター(長崎県大村市)の 「ヘリドッグ太」 は、つまりそういうことだ。左頬の赤いラインは、実際のヘリを再現。ドクターヘリが、離島と基幹病院をつなぐ命の架け橋であるように、「ヘリドッグ太」くんは、患者さんと病院、スタッフをつなぐ心の架け橋に―という思いが込められている。
内科の中沢 有香医師=現・北松中央病院(同県佐世保市)腎臓内科科長=がデザインを手掛けた。「ドッグ太って言いにくいよね」「ドク太でいいんじゃない」という向きもあるかもしれないが、そこは「異常なまでに犬を愛する中沢医師のこだわり」とのことなので、尊重したい。2011年11月に着ぐるみデビューを果たしてからは、病院の健康フェスタや各種学会、市民講座など、幅広く活動している。いつも周りは、写真撮影を求める女性の姿でいっぱいなんだそう。出る所に出れば、同じ九州出身のスター「くまモン」にも負けない人気ぶりなのだ。
■同級生コンビはダンスがお好き
愛媛大医学部附属病院の 「あいちゃん」「だいちゃん」 は、共に同学部看護学科を12年3月に卒業した23歳の同級生コンビ。おとめ座で血液型AO型の「あいちゃん」は、明るくおちゃめな女の子、しし座でBO型の「だいちゃん」は、おおらかで物おじしない男の子だ。
とても気が合う2人は、頼まれたら嫌とは言 えない性格。院内外のイベントに引っ張りだこで、新採用者の辞令交付式で緊張を和らげたり、法被とねじり鉢巻き姿で地域の秋祭りを盛り上げたり、学生時代に所属していた「愛大ダンス部」仕込みのステップを披露したり―。禁煙キャンペーンで松山市内のメーンアーケードを練り歩いた際には、「こんなのできたんだ!」と、多くの市民が笑顔で駆け寄った。国立大学附属病院長会議の職員研修の一環として行われたコンペで、「自慢したくなるのも納得の大学病院」第1位に輝いたという受賞歴もある2人。もともとは看護職員の募集用キャラだったが、今やすっかり病院全体を代表するキャラに成長した。
■見た目はおじい、中身は・・・
続いての登場は、大垣徳洲会病院(岐阜県大垣市)の 「徳じい」 。地元名産の柿をベースに、親しみやすい「おじいちゃんドクター」にデザイン。頭のヘタは、徳洲会グループのロゴマークになっているのが心憎い。温厚な人柄で世話好きという好々爺だが、病院開設が08年ということで、医師歴は5年。見掛けによらず、若手である。
毎月発行する院内の広報誌を一新しようと、昨夏に誕生し、今年5月の地域健康フェスティバルで着ぐるみデビュー。まだ新しい同病院を広く知ってもらうと同時に、健康に対する意識を高めてほしいとPRに奮闘した。開院5周年の記念品「徳じいストラップ」も人気で、「意外に愛着を持ってもらっています」と同病院。これから、どんどん地域に出て行くつもりだそうで、10月の「大垣十万石まつり」や11月の「いびがわマラソン」などに参加する予定だ。ただ、気掛かりが一つ。「10月は、まだ暑いんじゃないかなと…」(同病院)。
(残り2714字 / 全4219字)
この記事は有料会員限定です。
有料会員になると続きをお読みいただけます。
【関連記事】