厚生労働省が7月31日、中央社会保険医療協議会の入院医療等の調査・評価分科会に提示した中間取りまとめの素案には、亜急性期入院医療管理料の算定要件に二次救急病院の指定や在宅療養支援病院の届け出などが盛り込まれた。在宅患者の緊急受け入れの役割を担保する狙いだが、「書き過ぎだ」といった慎重論もある。亜急性期医療を定義付けることの難しさが根底にあり、議論は平行線をたどった。
二次救急の指定や在支病の届け出は、このうちの緊急受け入れの要件という位置付けだが、会合では、石川広己委員(社会医療法人社団千葉県勤労者医療協会理事長)が、「(二次救急の指定は)救急の類型にすぎない。なぜ指定まで持っていくのか、全く意味不明」と強く反対し、文言の削除を要求した。神野正博委員(社会医療法人財団董仙会理事長)も、これを要件に加えることに難色を示した。
一方、武久洋三委員(医療法人平成博愛会理事長)は、高齢化が進むと死亡数や入院数の増加が避けられないため、「今のように救急車を呼んで、全部をERや二次救急にどんどん運んだら、どちらもパンクする」と指摘。医療ニーズの増加に対応するには、亜急性期病床や療養病床も救急患者の受け入れを一部担う必要があるとの認識を示した。
厚労省側は、緊急受け入れを担保するには、二次救急の指定や在支病の届け出など、幾つかの要件のうち病院側がどれかを選ぶイメージだと説明し、石川委員らに理解を求めた。
ただ、亜急性期病床を増やす方向性への反対はなく、来年度の診療報酬改定に向けて同省は、現在は一般病床のみに認められている亜急性期入院医療管理料の届け出を療養病床などにも広げたり、病室単位の算定の届け出を病棟単位にしたりすることも検討する。石川委員は、目標値を設定して亜急性期病床を確実に整備していくことを提案した。
同省では、二次救急の指定と在支病の届け出のほかに、▽人員配置▽入院患者の重症度・看護必要度▽退院患者の在宅復帰率▽DPCデータの提出-を要件にしたい考え。その上で、亜急性期入院医療管理料の評価を充実させる方向性も素案に明記した。
同省の担当者は会合後、亜急性期入院医療管理料の見直しについて、「今と全く別のものをつくるわけではなく、はっきりしないところをはっきりさせる」などと述べ、看護配置13対1など、現在の骨格をベースに検討する考えを強調した。【兼松昭夫】
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