中央社会保険医療協議会の診療報酬基本問題小委員会(小委員長=森田朗・学習院大教授)は24日、病院の収支を診療科別に把握する「医療機関の部門別収支に関する調査」の今後の取り扱いをめぐり議論したが、調査の継続を求める意見と、昨年度分を最後に終了すべきという意見があり、結論は出なかった。このため、森田小委員長と厚生労働省が今後の対応を話し合うことになった。
同分科会によると、▽調査に回答する病院側の負担が大きい▽回収率が低く、診療報酬改定の議論には利用されていない▽同じ診療科でも、医療経済実態調査の診療所の調査結果と乖離がある▽昨年度調査に回答した病院の過半数が、調査結果を活用する予定はないと回答している―といい、「診療報酬改定に結び付けることは困難」と判断した。
厚労省側も24日、医療経済実態調査の結果との乖離について、「病院と診療所の役割が違うので、単純な比較は難しい」とした上で、診療科別収支の調査結果を報酬改定の議論に使うのは難しいとの認識を示した。
意見交換では、西澤寛俊委員(全日本病院協会長)が「単年度の診療報酬改定に反映させるのが無理なのは分かるが、長期的な診療報酬体系の改善には有効」などと述べ、調査の継続を求めたのに対し、白川修二委員(健康保険組合連合会専務理事)は、「(調査結果の)診療報酬への反映は難しい。わたしに言わせれば不可能だ」と終了を主張。最後は森田小委員長が、「今後の進め方は、事務局と相談して提案する」と議論を引き取った。
病院の診療科別の経営実態を把握するため、コスト調査分科会は、「医療機関の部門別収支に関する調査研究」に2003年に着手。しかし、医師の部署別の勤務時間を把握する必要があるなど病院側の負担が大きく回収率が低迷し、報酬改定の議論には利用されていない。
昨年11月に実施した調査では、協力を依頼した3570病院のうち応じたのは455病院(応諾率12.7%)で、有効回答は216病院(6.1%)にとどまった。【兼松昭夫】
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