過疎や医師不足の地域で、小児や周産期の救急医療体制が崩壊の危機に直面している。厚生労働省や地方自治体は、ドクターヘリやドクターカーなどの搬送手段の確保に取り組んでいるが、医療資源の確保は後回しになっている感が否めない。産婦人科医が不足する地域では、救急車の受け入れ不能が頻発。ドクターヘリの機内で救急医が“空中分娩”に遭遇した事例もあった。国や自治体、医療者が難しいかじ取りを迫られている小児・周産期救急医療の課題を探った。【新井哉】
「ドクターのほかに、看護師か助産師が同乗できるのは大きな利点。地域の小児や周産期救急の体制強化が図れる」。今年5月からドクターカーの運行を始めた北見赤十字病院(北海道北見市)の担当者は、搬送中に医療行為が行えることで、地域医療の底上げにつながると強調する。
同病院と連携協定を結んだ北見消防組合の消防署に配置し、救急救命士ら署員2人に加え、医師と看護師または助産師の計4人が同乗。出動範囲は、北見市のほか、置戸町、訓子府町の1市2町。周産期に限ってこの1市2町に加え、美幌町、津別町にも出動する。
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