第三者による不正アクセスを受け、病院や医療に関係する機関のサイトが公開停止に追い込まれるケースが相次いでいる。三重県伊勢市の市立伊勢総合病院ではサイトが改ざんされた結果、公開の再開まで10日間を要した。さいたま市が運営するサイト「さいたま市食育・健康なび」も今月1日から公開を停止。いずれも警察が不正アクセス禁止法違反の疑いもあるとみて捜査する事態に発展している。被害を受けた病院や関係機関の再発防止策などから、セキュリティ対策の課題や不正アクセスへの対応策を探った。【新井哉】
「セキュリティ強化等の対策を行い、ホームページを再開しました」。伊勢総合病院は今月10日午後3時、サイトの公開を再開した。今月1日、同病院のサイトのサーバーで不正アクセスによる改ざんが見つかり、調査や復旧作業のため、10日間にわたりサイトの公開停止を余儀なくされていた。
改ざんされた6月30日午後10時35分から公開を停止した7月1日午前9時47分までの間、サイトを閲覧した人のパソコンがウイルスに感染した恐れがあることから、同病院は「ウイルス対策ソフトを最新の状態にし、ウイルススキャンを行ってほしい」と注意喚起。ウイルスが見つかった際の駆除手順についても、参考となるサイトを紹介するなど、被害の拡大防止に努めている。
一方、伊勢総合病院と同じ日からサイトの公開を停止している「さいたま市食育・健康なび」は12日現在、再開に至っていない。さいたま市は、「対策が済み次第、公開を再開する」としているが、伊勢総合病院の後塵を拝したことは否めない。何が両サイトの明暗を分けたのか―。伊勢総合病院の職員が知恵を出し合って取り組んだサイトの復旧作業に、その答えが示されている。
■フェイスブックや記者会見で積極的に情報発信
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