年明けから1万1000人以上の患者が報告された風疹の流行で、ワクチン接種による感染予防のニーズが高まっている。しかし、国内で製造販売が認められた風疹単独ワクチンと、麻疹(はしか)と混合のMRワクチンの在庫には限りがあり、厚生労働省は、5月時点の接種ペースが続けば8月中に底を突く恐れもあるとの試算を発表。接種を続けるため、一部の医療機関が、国内で未承認のMMRワクチン(麻疹、おたふくかぜ、風疹)を海外から取り寄せ始めている。東京都内の医療機関に、輸入を決断するまでの経緯を聞いた。【佐藤貴彦】
杉並区にある橋本医院は、6月中旬にMMRワクチンの輸入を決めた。同医院は2011年、ポリオ(小児まひ)の症状が出る恐れがある生ポリオワクチンの「接種控え」が起きた際にも、当時未承認だった不活化ポリオワクチンを輸入。2500本を地域住民などに接種した実績がある。
同医院で輸入を決めた医師は、「初めて輸入した時は、どうやって手に入れるかが分からない上、副反応の補償などを考えると抵抗があった」と当時を振り返る。未承認のワクチンを輸入して患者に打つことは、医師の裁量として認められている。しかし、万一のことが起きた際の責任は、承認された薬を決められた手順で打って副反応が起こった場合より、はるかに重い。
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