厚生労働省は26日、中央社会保険医療協議会の「入院医療等の調査・評価分科会」に、現在は「療養病棟入院基本料」の算定要件に組み込まれている入院患者の褥瘡の発生率の測定を、すべての病棟に拡大する方向を提案した。同分科会による昨年度の調査では、自宅やほかの医療機関、介護施設などからの受け入れ時点で既に褥瘡ができている患者の割合が増えており、2014年度の診療報酬改定に向けて褥瘡関連では、入院患者の治療と共に、在宅療養や入院中の発生予防をどう推進するかが焦点になる。
同分科会では、7月中旬以降の次の会合で、昨年度に実施したすべての調査の議論を一巡させる見通し。それ以降は、これらの調査結果を踏まえた意見の取りまとめに入る。14年度報酬改定での対応は、同分科会の報告を受けて中医協総会で話し合う。
同分科会の調査結果によると、褥瘡がある入院患者の割合(褥瘡有病率)は、「一般病棟」では6.0%で、そのうち入院時に既にできていた患者が4.5%、入院した後にできた患者が1.5%だった。これに対して、「療養病棟」の褥瘡有病率は12.4%。内訳は「入院時に既に保有」が7.3%、「院内で発生」が5.1%だった。
入院時に既に褥瘡があった患者のうち、一般病棟では77.8%が自宅からの入院だった。これに対しケアミックス型の療養病棟では、院内の急性期病棟などからの転棟が84.3%。療養病棟単独では、ほかの医療機関からの転院が52.2%で最多だった。
調査結果を受けて神野正博委員(社会医療法人財団董仙会理事長)は意見交換で、「一番の川上は在宅」と述べ、在宅での褥瘡予防の必要性を訴えた。筒井孝子委員(国立保健医療科学院統括研究官)は、在宅医療や介護保険の関係者も含めた連携の推進を主張した。【兼松昭夫】
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