中央社会保険医療協議会の「医療機関等における消費税負担に関する分科会」(分科会長=田中滋・慶大大学院教授)は21日に会合を開き、秋までに取りまとめる中間報告に向けた議論に入った。この中で、消費税率8%への引き上げ時に、高額投資による消費税負担分を診療報酬とは別建てで補てんする方式を見送る一方、負担が大きくなる点数項目と、基本診療料などを組み合わせて診療報酬を上乗せする案が有力候補になった。
診療報酬による対応については、事務局の厚生労働省が3つの案を提示。案1は、基本診療料と調剤基本料に消費税対応分を上乗せする方式。この場合、病院は入院基本料に、診療所は初・再診料に、それぞれ消費税対応分を上乗せすることなどが考えられるとした。案2は、消費税負担が大きいと考えられる点数項目に上乗せし、案3は1点単価に上乗せするというものだ。 事務局案に対し、白川修二委員(健康保険組合連合会専務理事)は、「案3にはすべきではない。1点10円という考え方を変えるのは社会的に大きな影響がある。公平という観点から、従来の案2に1を組み合わせるのがいい」と指摘。今村聡委員(日本医師会副会長)は、「皆が完全に満足する方法は難しく、厚労省が案1を提案したことは理解できる。最終的に案1、もしくは案1プラス2になるか分からないが、8%引き上げ時の対応は、あくまで過渡的で、あまり精緻な仕組みをつくる必要はない」と強調した。
■設備投資調査「この場で議論する意味あるのか」
この日の会合では、同分科会が実施した医療機関等の設備投資に関する調査の結果が報告されたが、回収率が病院13.0%、一般診療所8.1%、歯科診療所7.5%と、いずれも低かったことから、この結果に基づいて議論することに異論が続出した。白川委員が「この回収率は非常に残念。この場で議論する意味があるのか」と述べ、ほかの委員も調査の有効性に疑問を呈した。【君塚靖】
(残り0字 / 全955字)
この記事は有料会員限定です。
有料会員になると続きをお読みいただけます。
【関連記事】