従来の「栄養管理実施加算」を廃止し、入院基本料などの算定要件に管理栄養士の配置を組み込んだ2012年度診療報酬改定での対応をめぐり、中央社会保険医療協議会の「入院医療等の調査・評価分科会」は20日の会合で、有床診療所に対する取り扱いを見直す方向性を固めた。この加算を算定していなかった医療機関向けの暫定措置が切れる今年度末までに、管理栄養士の確保を見込めない有床診療所が多いため、厚生労働省が修正案を出した。
診療報酬を簡素化するため、12年度報酬改定では、栄養管理実施加算と褥瘡患者管理加算を廃止する一方、これらの加算の要件を入院基本料と特定入院料の算定要件に移行させた。これに伴い、有床診療所には「非常勤の管理栄養士1人以上」(病院では常勤)の配置が求められた。栄養管理実施加算を11年度末までに算定していなかった医療機関については暫定措置として、今年度末まではこの要件をクリアしているとみなされる。
しかし、中医協の診療報酬改定結果検証部会などの調査では、▽昨年3月末現在、有床診療所の86.7%が栄養管理実施加算の算定を届け出ていない▽管理栄養士がいない有床診療所の54.4%では、今後の確保のめどが全く立っていない―などの状況が明らかになった。
これに対し、一般病棟入院基本料の算定病院の89.8%が昨年3月末までにこの加算の算定を届け出ており、厚労省では、有床診療所の管理栄養士の配置要件を、病院と同じように扱うのは困難だと判断した。
12年度の報酬改定では、これらの加算の算定率が高いことなどから一連の見直しに踏み切った。厚労省の担当者は分科会の会合終了後、記者団に対し、次の診療報酬改定での対応について、「算定率だけで、入院基本料の加算を検討することは多分ない」などと説明した。【兼松昭夫】
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