厚生労働省は、DPC対象病院の診療実績を評価する機能評価係数2について、来年度に予定している次の診療報酬改定での新たな項目の追加を見送る方針を固めた。同省は、DPC対象病院が自病院の特徴をデータで分かりやすく公表する「病院指標の公開」を追加項目の最有力候補としており、診療報酬調査専門組織・DPC評価分科会が22日に開いた会合では、各病院のデータ公開の実態やそれによる効果を調査した上で、追加できるかどうか判断する方針を説明した。しかし、調査の実施は秋以降になる見通しで、次の報酬改定での追加は難しい状況。分科会では、これ以外の追加項目についても有力な提案はなかった。
「病院指標の公開」をめぐっては、同分科会の藤森研司委員(北大病院地域医療指導医支援センター長)が昨年末、各病院共通のフォーマットとして、初発・再発のがん患者数のほか、敗血症の発生率など診療結果(アウトカム)に関するデータを盛り込んだ素案を提示。分科会で中身を具体化することになっていた。
22日の会合では、この素案の内容を改めて話し合ったが、「アウトカムデータの公表は時期尚早」(三上裕司委員)、「アウトカム指標をDPCデータで取ると、ばらつきが大変大きくなることが予想される」(伊藤澄信委員)といった慎重論が相次いだ。
このほか、日本医療機能評価機構の病院機能評価など、第三者評価の受審を機能評価係数2で評価すべきだという意見もあった。しかし、厚労省側は「(日本医療機能評価機構は)私的な機関。そこに公的なお金でお墨付きを与えることになってしまう」と難色を示した。
この日の分科会では、「データ提出指数」や「地域医療指数」など機能評価係数2に組み込まれている現行の6項目への対応も協議した。このうち地域医療指数では、DPC対象病院による精神科や在宅医療の取り組みを評価すべきかどうかがテーマになった。
都道府県が医療計画に盛り込む従来の「4疾病5事業」に、精神疾患と在宅医療が加わったことに伴い厚労省側が提案したが、樫村暢一委員(手稲渓仁会病院副院長)は、在宅医療への評価について、「在宅を推進する上で評価はあった方がいいが、現状では(適切な)評価指標がないと思う」と述べた。【兼松昭夫】
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