女性医師と看護師が働き続けていく上で立ちはだかる「子育て」の壁。彼女たちの離職防止と人材確保は、病院経営の大きなテーマになっている。対策として注目されるのは、やはり院内保育所だ。女性支援・子育て支援に対する認識が深まってきた近年、院内保育所の設置をアピールした医療機関の求人も目立つが、中には「せっかくつくったのに効果がない」という声も聞こえる。人材定着に機能する院内保育所づくりとは―？　院内保育所の運営に詳しい保育事業コンサルタントの大嶽広展氏（船井総合研究所）に聞いた。【烏美紀子】

　「院内保育所は、機能しているところとしていないところ、はっきり2つに分かれる」とする大嶽氏。しかし、機能していると言える病院でも、人材定着の効果を定量的に測ることは難しく、費用対効果や投資回収を問う声に正確な答えは出せないという。「ただし、参考値として」と、大嶽氏はこんな試算を紹介した。

（残り1543字 / 全1930字）