16日に開かれた中央社会保険医療協議会の「入院医療等の調査・評価分科会」では、一般病棟に90日を超えて入院する患者に関する「特定除外制度」についても意見が対立した。焦点は、2012年度診療報酬改定で看護配置13対1、15対1の一般病棟に限ってこの制度を廃止したように、看護配置が手厚い7対1、10対1病棟についても制度を廃止するかどうかで、全面廃止を求める意見が出された一方、7対1、10対1病棟を退院した患者の受け皿を懸念する声も上がった。
分科会で昨年度に実施した調査の結果(速報値)によると、7対1か10対1の一般病棟入院基本料を算定する病棟に入院する患者のうち、特定除外患者が占める割合は、7対1が3.7%、10対1が6.5%。特定除外患者を含めて平均在院日数を計算すると、7対1では1.5日延び22.5日に、10対1では3.2日延び25.2日になった。
こうした調査結果を踏まえ、7対1、10対1病棟についても特定除外制度を廃止するよう強く求めたのが、日本慢性期医療協会長の武久洋三委員。「特定除外患者(が全体に占める割合)は数%で、このくらいの誤差なら平均在院日数に含めても問題ない」「平均在院日数に含めても1.5日しか変わらないなら、しかるべき患者はわれわれポスト・アキュートの所に回していただきたい」などと主張した。「特定除外は、既に役目を終えた制度」とも述べた。
また、高智英太郎委員(健康保険組合連合会理事)は、7対1、10対1の病棟にも、入院日数が90日を超える患者が全体に占める割合が90%を超える病棟があるとの調査結果が示されたことに触れ、「こうした病院が急性期対応病院と果たして言えるのか」と疑問を呈した。
一方、神野正博委員(社会医療法人財団董仙会理事長)は、「7対1病棟に入院していて、病状がしょっちゅう変わって90日超えしているような患者さんを、ほかの所で診ていただけるかどうか」と述べ、急性期後の受け入れ先の確保に懸念を示した。その上で、「(7対1病棟を退院した)後で診てくれる病院がないと、”難民”が増えるだけではないか」と問題提起し、慎重な検討を求めた。【高崎慎也】
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