中央社会保険医療協議会(中医協、会長=森田朗・学習院大教授)は15日に総会を開き、日帰りか、4泊5日以内の入院での手術について包括評価する「短期滞在手術基本料」について、対象手術などが実態に合っていないとの認識で一致した。同基本料の対象手術でも、多くが出来高で算定されている状況などを踏まえたもので、具体的な方針は、より詳細なデータなどを集めた上で、2014年度の診療報酬改定に向けて検討する。
「1」と「2」の対象手術については、同基本料を算定するか、出来高で算定するかを医療機関が選択でき、基本料を算定する場合には地方厚生局などへ届け出を行う。また、「2」か「3」を算定される患者は、平均在院日数の計算対象に含まれている。 厚生労働省が示したデータによると、同基本料の対象手術が行われても、ほとんどが出来高で算定されているのが現状。医療機関に同基本料の算定割合が低い理由を聞いたところ、「対象手術の多くが規定の期間を超えて入院する」「わざわざ届け出を行い算定する医療機関が少ない」などが挙げられたという。
一方、DPCデータを基に対象手術に伴う在院日数を分析すると、平均が5日に満たない手術が、同基本料1の対象のうち6種類、同基本料2の対象のうち4種類あった(いずれも症例数が10例以下の場合は除く)。 こうした状況を踏まえ厚労省側は、同基本料をめぐる課題として、▽対象手術を実施する際、出来高で算定することが多い▽対象手術の一部で、同基本料が定めている入院期間を超えるものの、多くの症例が在院日数5日未満に収まるものがある▽同基本料2か3が算定される患者が平均在院日数の計算に含まれている―などを挙げた。その上で、「治療や検査の方法、入院期間が標準化されてきているものについて、包括的な評価を推進することをどのように考えるか」と問題提起した。 これに対し委員からは、同基本料の対象手術などが実態に合っていないとの指摘が相次ぎ、包括評価を進める方向で診療側と支払側が一致した。支払側の白川修二委員(健康保険組合連合会専務理事)は、技術の進歩により必要な入院期間が短くなっている手術もあるとして、「それらも含めて(対象手術を)一度整理すべきだ」と主張。診療側の安達秀樹委員(京都府医師会副会長)も、「今回のデータのメリットは、過去に設定されたものが現状に合っていないことを再認識したこと」と述べた。 一方で、具体的な方針を議論するには情報が不足しているとの意見も多く聞かれた。西澤寛俊委員(全日本病院協会長)は、平均在院日数について「DPCでやっている(患者の)もの、出来高でやっているもの、短期滞在手術基本料を取っているもののデータを比較しないと議論しにくい」と訴えた。さらに、「同じ疾患でも、合併症や重症度などによって(在院日数が)変わる例もあるのではないか」として、より詳細なデータの提示を求めた。
また白川委員は、「日帰り、1泊2日(で手術できる)と、どういう理論で決めたのかご説明いただかないと、現実と診療報酬(上のルール)の差が理解できない」と述べ、対象手術を決めた根拠について説明が必要だとした。【高崎慎也】
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