在宅医療の取り扱いをめぐる中央社会保険医療協議会(中医協)の議論では、2014年度の診療報酬改定で引き続き評価すべきだと支払側も主張しており、これへの反対意見は出ていない。在宅医療を推進させる方向性は、社会保障・税一体改革大綱にも盛り込まれ、既定路線と言える。ただ、在宅医療の提供体制には地域間の格差が生じている。また、集合住宅の運営会社と契約を結んだ医療機関が患者を囲い込むなど、「不適切と考えられる事例」も厚生労働省では把握しており、サービスの量的確保と共に、質をどう担保するかが課題になる。【兼松昭夫】
12年度報酬改定では、▽常勤医3人以上を配置▽24時間連絡が取れる医師か看護職員をあらかじめ指定▽過去1年間の緊急往診5件以上、在宅看取り2件以上-などの基準をクリアする在宅療養支援病院(在支病)や在宅療養支援診療所(在支診)を、「機能強化型」に位置付けて手厚く評価した。
さらに、緊急時や夜間、深夜に往診した場合の加算も引き上げたが、支払側の白川修二委員(健康保険組合連合会専務理事)は今年2月13日の中医協総会で、一連の見直しについて、「個人的な感触では、少し不十分だった気がしている」などと指摘。全国健康保険協会理事長の小林剛委員(当時)も、「(在宅医療は)当然進めなくてはならない」と述べ、こうした方向性への反対意見はなかった。
在宅医療関連では、中医協の診療報酬改定結果検証部会が12年度に複数の調査を実施しており、総会ではこれらの結果が出そろってから議論を本格化させる。
診療報酬上の後押しもあり、在支病と在支診は着実に増えている。在支病の届け出数は、11年の442施設から翌12年には746施設と、1年間で一気に7割近く増えた =グラフ、クリックで拡大= 。在支診は1万2841施設から1万3758施設と、同じ期間に917施設(7.1%)の増。
ただ、在宅医療の提供体制には地域間の格差が目立つ。厚労省によると、10年7月までに届け出があった在支病335施設のうち、半数近い157施設が人口20万人以上の都市部に集中している。一方、65歳以上人口当たりの在支診の届け出数(12年7月現在)は西高東低の傾向。東京都を除くと北海道、東北、関東ブロックでは全国平均を軒並み下回っており、中医協では、こうした地域ごとの実情に応じた推進策も話し合う。
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