「7対1が、増え過ぎている」―。3月13日の中央社会保険医療協議会(中医協)の総会では、支払側の白川修二委員(健康保険組合連合会専務理事)が、このような問題意識を示した。厚生労働省によると、2011年7月1日現在で、看護配置7対1の一般病棟入院基本料の算定を届け出ている病床数は35万床余りに上り、同省が当初想定していた2万床を大きく上回っている。これまでの診療報酬改定でも算定要件の厳格化が図られており、14年度報酬改定に向けても、さらなる厳格化が俎上に上りそうだ。【高崎慎也】
その後の報酬改定では、算定要件の厳格化が図られてきた。08年度の報酬改定では、重症度・看護必要度基準を7対1の算定要件に導入。「A得点2点以上、B得点3点以上」との基準に該当する患者を10%以上受け入れていることが要件になった。12年度には、この基準が「15%以上」に引き上げられた上、平均在院日数の要件が「19日以下」から「18日以下」に短縮された。手厚い看護配置が必要な病棟に、7対1の算定を絞り込んでいくためで、同省では一層の厳格化を進めたい考えだ。
一連の見直しが功を奏してか、08年以降、7対1の算定を届け出る病床数の増加率は緩やかになっているものの、依然として増加傾向は続いている。11年7月1日現在では35万2802床に上り、厚労省が当初想定していた2万床の18倍近くに達している。
ただ、14年度報酬改定でどれだけ対応するかは不透明な状況だ。厚労省保険局の宇都宮啓医療課長は今年1月に東京都内で講演し、12年度報酬改定で算定要件を厳格化した影響を、14年度報酬改定までに検証するのは困難だとの認識を示している。厳格化で「7対1」の要件を満たせなくなっても、「10対1」の要件を満たしていれば、従来通り7対1を算定できるとの経過措置が14年3月末まで認められているからだ。
中医協では、さらなる厳格化に対する意見が分かれている。支払側の白川委員は3月13日の中医協総会で、7対1の算定病床が「増え過ぎている」との問題意識を表明。7対1の算定病床に入院する患者でも、それだけの手厚いサービスを受けていない状況が起きていることへの懸念を示した。
これに対し、診療側の鈴木邦彦委員(日本医師会常任理事)は同日の中医協総会で、「わが国が既に世界一の超高齢化社会になっていることを考えると、在院日数の短縮は限界に近づいている」と述べた。
(残り380字 / 全1518字)
この記事は有料会員限定です。
有料会員になると続きをお読みいただけます。
【関連記事】