社会保障と税の一体改革では、入院医療の見直しの方向性として、「急性期病床への医療資源の集中投入」と「一般病棟への長期入院の適正化」が打ち出されている。2012年度診療報酬改定ではこれを踏まえ、90日を超えて一般病棟に入院する患者に関する「特定除外制度」の見直しなどの措置が取られた。中央社会保険医療協議会(中医協)では、14年度報酬改定でのさらなる見直しが焦点になりそうだ。【高崎慎也】
入院医療について自由に意見交換した3月13日の中医協総会。特定除外制度について、支払側の白川修二委員(健康保険組合連合会専務理事)はこう指摘した。
特定除外は、一般病棟に90日を超えて入院し、本来は点数の低い「特定入院基本料」の算定対象になる患者でも、難病や人工呼吸器装着など12の「特定除外項目」のいずれかに該当すれば、それまで通り「一般病棟入院基本料」の算定対象になるという制度だ。
12年度報酬改定では、看護配置が少ない13対1、15対1を算定する一般病棟に限り、この制度を廃止。90日を超えて入院する患者の取り扱いについて、▽引き続き一般病棟入院基本料を算定できるが、平均在院日数の計算対象に含める▽医療区分やADL区分を用いた「療養病棟入院基本料1」と同じ評価にするが、平均在院日数の計算対象には含めない―のどちらかを、医療機関が病棟単位で選ぶ仕組みにした。入院日数が90日を超える患者に占める特定除外患者の割合が、13対1、15対1病棟ではいずれも9割を超えることを踏まえて廃止が判断された。
白川委員の発言は、7対1、10対1入院基本料についても、制度を見直す余地があるとの考えを示唆するものだ。
ただ、14年度報酬改定での全面廃止を求めているわけではない。白川委員は、「次回(14年度)改定で解決できるものがあれば、解決しなければならない」と主張する一方で、「病院の経営が安定していないと困るのは、患者側も同じ。急激に変えることは避けなければならない」とも述べ、医療機関への影響に配慮しながら、複数回の報酬改定で対応すべきだとの認識を示した。
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