厚生労働省が2011年10月5日、中医協総会に提出した「社会保障改革の実現に向けたスケジュール」では、25年に向けたテーマとして、▽外来受診の役割分担に向けた評価▽専門医療機関などによる専門的な外来やセカンド・オピニオンなどの評価▽診療所などと地域の拠点病院が連携して外来診療を行っていることへの評価-の3点を挙げている。【兼松昭夫】
現在は約20%の65歳以上人口の割合は、30年には約32%に跳ね上がるとみられている。病気やけがで病院や診療所などに通院する人の割合は、高齢者ほど高くなるとされる =グラフ、クリックで拡大= 。さらに、若い時に病気がある人は年齢を重ねるにつれて病気も積み重ね、高齢者になったときには、幾つかの病気を持つようになると同省ではみている。
同省によると、総合的な診療をする「かかりつけ医」がいる人の割合は高齢なほど高く、70歳代では8割を超える。また、かかりつけ医までの通院時間は「30分未満」が86.0%を占めるという。
一方、外来患者の診察待ち時間は、特定機能病院や100床以上の病院で長く、軽症な患者には近くの診療所を受診してほしいと感じている医師が多い。
これらを踏まえて同省保険局の宇都宮啓医療課長は、今年1月23日の中医協総会で、「患者がアクセスしやすい中小病院、診療所では複数の慢性疾患を有するような高齢者が非常に多いと思うが、全人的・継続的な診療を行い、必要に応じて専門的な診療を行う地域の拠点となるような病院にご紹介いただく」と説明した。
■幅広い能力持つ「かかりつけ医」
そもそも、かかりつけ医とは何なのかも論点になりそうだ。日本医師会では、「地域医療、保健、福祉を担う幅広い能力を有する医師」と定義。かかりつけ医の役割として、▽何でも相談できて、最新の医療情報を熟知している▽必要な専門医や専門の医療機関を紹介できる―ことを挙げている。
鈴木邦彦委員(日医常任理事)は、同日の中医協総会で、「特定機能病院を含む大病院の外来の見直しは、勤務医の負担軽減という観点からも必要。診療所、有床診療所、専門病院以外の中小病院の、かかりつけ医機能の充実を中心に考えるべきだろう」と述べた。この日は、外来診療の機能分化への反対意見はなかった。
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