医療基本法(仮称)の制定に向けた動きが活発化している。同法制定の主な目的として、医療者と患者の信頼関係を構築するとの方向に支持は多いが、同法に医療者、患者の権利と責務をどのように盛り込んでいくかには、さまざまな意見があり、医療の現場には温度差もある。【君塚靖】
同シンポジウムで司会を務めた日医の今村定臣常任理事は、こう話す。
「自分たちの義務ばかりが言われているという、フロアからの意見も分からないでもありません。これまで患者さんとのトラブルの中で、医療者が苦労してきたという現実もあります。患者さんにも、薬害訴訟も含めて医療提供者、あるいは政府や製薬メーカーに対して不信があります。こういう不信感をお互いに持ちながら、医療を提供するのは不幸なことです」
日医は昨年3月、医療基本法の草案をまとめた。同草案の1条に、「医療者と患者の信頼関係に基づいた医療が実現されることを目的にする」と明記し、医療者の責務と共に、患者の権利と責務を明確に示している。
これについて、今村常任理事は、「あくまで医療提供は、患者あるいは国民と、医療者の信頼関係に基づくものです。医療基本法を制定するのは、医療者と患者の関係をもう一度、いいものにしたい、それができる仕組みに再構築したいと思うからです」と話す。
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