中央社会保険医療協議会(中医協)の総会が23日に開かれ、次期診療報酬改定に向け、外来診療の機能分化に関する議論が始まった。厚生労働省の事務局は、依然として病院の外来患者数が全体の2割強を占め、勤務医の負担となっている現状や、慢性疾患を抱えた高齢者の重複受診が多いという患者像を、議論の前提として説明。イメージ図の中では、「地域の拠点となる病院」の「一般外来の縮小」「専門外来の確保」を盛り込み、「患者がアクセスしやすい中小病院、診療所」に、「複数の慢性疾患を有する患者の対応」「専門医や介護保険施設への適切な紹介」などの役割を明記した。
外来の患者像として、▽65歳以上では、平均傷病数がおおむね2.5と多い▽1年間の受診医療機関数で2機関以上だった患者は、0-74歳が18.0%、75歳以上は42.8%-などのデータから、慢性疾患のある高齢者が重複受診する姿を説明。また、機能分化の方策として、かかりつけ医に関するデータも出され、▽かかりつけの医師が「いる」とする人は5割強、75歳以上に限ると8割以上▽かかりつけ医が病院の医師である人は3割、一般診療所は7割▽医療機関を選ぶ際の情報源(複数回答)は「家族、友人、知人の意見」が5割、「かかりつけ医師に相談」が4割弱-などの数字を紹介した。 委員からは、外来診療の機能分化という基本的な方向に異論はなかった。白川修二委員(健康保険組合連合会専務理事)は、「今のところ初診料、再診料に差をつけるくらいしか具体的な手法がないが、より促進する方策を議論する必要がある」とし、「後期高齢者の相談料のような仕組みが、民主党政権で廃止になったが、考え方としては間違っていない」と考えを述べた。嘉山孝正委員(全国医学部長病院長会議相談役)は、「機能分化の方向性は間違いないが、行き過ぎると、ちょっと相談できるような小児科がなく、心臓移植のような先進医療をするところはあるような、米国のようになってしまう」と危惧を示した。【大島迪子】
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