中央社会保険医療協議会の薬価専門部会(部会長=西村万里子・明治学院大教授)は5日、2014年度薬価制度改革に向けた長期収載品(後発医薬品のある先発医薬品)の薬価のあり方などをめぐる議論について、厚生労働省が提示した中間取りまとめ案を大筋で了承した。同案には、長期収載品の薬価について、一定期間を経過した後も後発品への置き換えが進まなかった場合、特例的に引き下げる新しいルールの導入などが盛り込まれている。
さらに、論点の一つとなっていた先発品と後発品の薬価差については、市場実勢価格を反映させることを原則とした上で、「薬価の差が存在することを許容する」と明記した。
このほか、後発品のシェアの指標について、新たに後発品への置き換え率を用いるとした。従来の指標では医薬品全体の数量を分母、後発品の数量を分子として算出していたが、新たな指標では後発品が存在しない先発品などを分母から抜いて計算する。また、12年度末までに後発品の数量シェア30%以上を目指すとした政府目標に代わる目標については、この新たな指標を用いることを念頭に、「例えば、今の日本に近いフランス等の後発品置き換え率が参考になるとの意見があった」と明記した。
今後に向けた検討課題については、最初に後発品が出た時の先発品と後発品の薬価差や、後発品が初めて収載された先発品の薬価の特例引き下げの引き下げ幅などを挙げている。
同案については、次回の中医協総会に報告。長期収載品の薬価の新ルールについては13年秋ごろから、制度設計に向けた議論を開始する予定だ。同日の薬価専門部会で、加茂谷佳明専門委員(塩野義製薬常務執行役員)は「長期収載品の比率が非常に高い企業もある。そういった意味で、(新ルールは)業界にとって甚大な影響を及ぼしかねないものと懸念する」と述べ、制度設計の議論をする際には企業経営への影響も考慮するよう要望。その上で、新薬創出加算の本格導入に向けた検討なども含め、「薬価制度全体の中で長期収載品の新たなルールの検討をお願いしたい」と改めて求めた。【津川一馬】
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