医療法人の経営を考える「全国医療法人経営セミナー」(日本医療法人協会など主催)が20日、東京都内で開かれ、4月に実施された診療報酬と介護報酬の同時改定をテーマにしたシンポジウムでは、日本医師会の鈴木邦彦常任理事(中央社会保険医療協議会委員)ら3人が意見を交わした。鈴木氏が理事長を務める茨城県内の病院では、今回の診療報酬改定で創設された新しい「回復期リハビリテーション病棟入院料1」に10月に移行したが、スタッフの増員に伴う人件費増などにより、利益は前年同月に比べ減少したという。
4月に実施された診療報酬改定では、回復期リハビリテーション病棟入院料を従来の2段階から3段階に再編。手厚い看護配置(常時13対1以上)の病棟を評価する同入院料1(1日1911点)をつくり、従来の同入院料1を2(同1761点)に位置付けた。
医療法人社団永生会(東京都八王子市)の安藤高朗理事長も、シンポジウムに先立つ講演で、新たな同入院料1について、収入だけでなく人件費も大幅に増えるので、収益率はマイナスになると指摘した。
医法協の猪口正孝理事(社会医療法人社団正志会理事長)は、「加算を取るに当たっては、われわれの病院の理念やミッションを描き、それに適合するものだけをやるようにしている」と述べた。
司会を務めた医法協の関健副会長(社会医療法人城西医療財団理事長・総長)は、病院の入院を評価するため、加算による評価ではなく、入院基本料自体を引き上げるべきだと主張。また、介護報酬の改定に伴い、認知症高齢者のグループホームに専従の夜勤職員を配置しなければならなくなった点について、「人件費がかなり増えて、端的に言うとやっていけない」「なぜこんなばかげたことを考えるのか、非常に疑問だ」などと批判した。【兼松昭夫】
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