中央社会保険医療協議会(中医協)の診療報酬基本問題小委員会(委員長=森田朗・学習院大法学部教授)は3日、2014年度の診療報酬改定に向け、看護職員1人当たりの月平均夜勤時間が72時間以内とする入院基本料の要件をめぐる議論を開始した。医療職全体の労働条件を改善させる方向では一致したが、72時間要件を外すよう求める診療側に対し、支払側は入院基本料の要件について全般的に話し合う必要性を示し、議論は平行線をたどった。小委では、来年秋にもまとまる72時間要件の効果・影響に関する調査の速報値を基に、協議を進めることを確認した。
診療側の西澤寛俊委員(全日本病院協会会長)は、「72時間の規定がどうこうではなく、それが入院基本料の(算定要件の)中に入っていることを問題にしている」と強調。その上で、「例えば、加算という方法もあると思う」と提案した。
また、鈴木邦彦委員(日本医師会常任理事)は、今年度の改定で有床診療所の入院基本料に包括された「栄養管理実施加算」を引き合いに出し、「現場で厳しい状況が続いていることを踏まえれば、(72時間要件は)廃止を含めて考えるべきではないか」と指摘したほか、嘉山孝正委員(全国医学部長病院長会議・相談役)は、「(看護職員の)労働環境を良くするのはいいが、それを入院基本料に入れておくのであれば、他の職種も入れないと整合性が取れないのではないか」と述べ、入院基本料以外での評価を考える必要性を示した。
こうした意見に対して、支払側の白川修二委員(健康保険組合連合会専務理事)は、「入院基本料の算定要件全体について議論すべきだ」とし、中医協の調査などを踏まえ、看護配置を中心とした入院基本料の在り方の適否について協議するよう求めた。その一方で、医師の労働環境に理解を示し、「それをいい方向に向かわせるような要件設定は有り得ると考えている」とも語った。
一方、福井トシ子専門委員(日本看護協会常任理事)は、「すべての医療従事者が均等に評価される仕組みが必要だと思うが、その中で看護職が出てきているのは、(勤務形態が)365日24時間だからだ」と反論。その上で、「看護師が個々に入院基本料の恩恵を受けているかと言えば、そんなことはない。入院基本料の中に看護配置が入らないとしたら、どのようなスキームだと相互にバランスが取れてうまくいくのか、わたしの中で結論は出ていない」と述べた。
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