中央社会保険医療協議会(中医協、会長=森田朗・学習院大法学部教授)が3日に開いた総会では、東京医科大茨城医療センター(茨城県阿見町)が診療報酬を不正請求していた問題を受け、支払側の委員が不正内容の開示を厚生労働省に求める一幕があり、森田会長は「改めてアジェンダ(検討課題)として議論していただく」と述べた。厚労省側は次回以降の総会で、同センターに対する監査の結果や、全国で近年に発生した不正請求の概要などを報告する。
同センターは、2008年4月から09年5月にわたり診療報酬を不正に請求したとして、保険医療機関の指定が今年12月1日付で取り消されることが決まっている。厚労省の関東信越厚生局茨城事務所によると、同センターの不正請求は3万242件で、保険者への不正請求総額は約8300万円という。
3日の総会で、石山惠司委員(日本経団連社会保障委員会医療改革部会長代理)は、「(同センターの)不正請求のニュースを見た。有名な大学だから、かなりの問題があると思う」と強調。「後学のため、これまでに起きた同様のケースの件数や金額を提示してほしい」と厚労省側に求めた。
白川修二委員(健康保険組合連合会専務理事)もこれに同調し、「大学病院ともあろうものがと、憤りを感じている」と怒りをあらわにした。さらに、診療報酬の請求に不正がないかどうかを厚生局がすべてチェックするのは難しいと指摘。「見過ごされる不正請求が相当あると思う。悪いことをして一部だけ返済し、あとは医療機関の利益になっているというのが現実ではないか」との認識を示し、不正請求を見過ごさない新たな仕組みづくりの必要性を訴えた。
診療側の嘉山孝正委員(全国医学部長病院長会議相談役)は、同センターの不正請求は「例外」と強調。「あってはいけないことで、非常に残念なことと思っているが、ほかの大学(病院)はきちっとしている」と述べた。【兼松昭夫、佐藤貴彦】
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