中央社会保険医療協議会の費用対効果評価専門部会(部会長=関原健夫・日本対がん協会常務理事)は22日の会合で、医薬品などの医療技術の保険収載の可否などの判断基準として導入を検討している「費用対効果評価」について、効果指標の検討を開始した。意見交換では、先行して費用対効果評価を導入している国の多くが効果指標として用いている「質調整生存年(QALY)」に意見が集まり、「普遍的な効果指標として、日本版のQALYを検討する方向でいいのではないか」などの声が上がった。
費用対効果評価を導入している国の多くが用いている「QALY」は、生存年と生活の質(QOL)を考慮した指標。完全な健康状態を1、死亡をゼロとしたある病態のQOLを「効用値」として表し、それに生存年数を掛け合わせて算出する。
この日の会合で厚労省は、分析結果の評価を明確にするため、単一の効果指標をあらかじめ設定し、必要に応じて、この指標による評価を補う手法を検討することなどを提案した。
また、「QALY」を効果指標として使用した場合、▽疾患に依存しないため、異なる疾患間での比較が可能▽諸外国で幅広く利用されており、一定の運用実績があるとともに、海外事例(データ)の活用も考慮可能―などの利点があると説明。一方で、データの収集や分析が難しいことなどを欠点に挙げた。
意見交換では、支払側の白川修二委員(健康保険組合連合会専務理事)が、「とりあえずは日本版のQALYを、普遍的な指標として検討していく方向でいいのではないか」と述べる一方で、効用値の算出方法などについて、今後の詳細な説明を専門委員に求めた。
また、診療側の安達秀樹委員(京都府医師会副会長)も、「QALYは英国で長い運用の実績がある。その結果として見えてきた欠点などを示してほしい」と要望。また、医療技術には生存期間の延長に重点を置いたものや、治癒を目指すものなど、多様性があることを指摘した上で、「単一の評価指標をベースにしつつ硬直な運用にならないよう、それぞれの医療技術については弾力的に、個別に判断をする余地を残す考え方が、日本型の効果指標としていいのではないか」と述べた。【津川一馬】
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