厚生労働省は27日、中央社会保険医療協議会の費用対効果評価専門部会(部会長=関原健夫・日本対がん協会常務理事)の会合で、医療技術(医薬品や医療材料、手術などの手技)を保険収載するかどうかや償還価格を決める判断基準として導入を検討している費用対効果評価の手法について、運用する際の原則などを提案した。厚労省案では「すべての医療技術を費用対効果評価の対象とするわけではない」と明言し、対象とする医療技術を限定したほか、この手法による評価結果だけで保険収載するかどうかや、償還価格を決めないとした。
2014年度報酬改定での試験的導入を目指し、医薬品、医療材料、手技の3分野に共通するルールを秋ごろまでにまとめる。厚労省はまた、粒子線治療を例に共通ルールの検討を進めることも提案した。
意見交換では、共通ルールの策定に向け、安達秀樹委員(京都府医師会副会長)が、「(粒子線以外にも)時間的に余裕があれば、医薬品も何か一つ、検討の具体例に入れてほしい」と要望を出した。
白川修二委員(健康保険組合連合会専務理事)も具体例で検討したことを共通ルールに発展させる必要性を指摘し、「費用対効果の『効果』の定義は、粒子線治療の検討だけでできるのか」と問題視した。
また、鈴木邦彦委員(日本医師会常任理事)は、安全性や有効性が確立されている技術に対象を限定するよう強く主張。また、「費用対効果ありきの話になっている」と述べ、慎重な検討を改めて求めた。
■費用対効果「すごく重い議論」―西澤氏
中医協の診療側委員を務める西澤寛俊・全日本病院協会長は同日、四病院団体協議会の総合部会終了後の記者会見で、「費用対効果の『効果』は、治ることなのか、生存率なのか、いろいろなことを考えなければいけない」とする一方で、「診療側が慎重なのは、反対しているからではない。すごく重い議論が始まったという認識だ」と述べた。【津川一馬】
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