入院医療について、2012年度診療報酬改定で算定要件や評価を見直した影響などを調査し、その結果を踏まえて診療報酬上の評価を検討するため、中央社会保険医療協議会(中医協、会長=森田朗・学習院大教授)は27日の総会で、分科会を新設して年内に調査を開始することを決めた。
新たな分科会での検討項目は大きく分けて、▽病院機能に合わせた効率的な入院医療の推進▽医療提供体制が十分ではなく、医療機関の機能分化を進めることが困難な地域に配慮した評価▽入院医療や外来診療の機能分化の推進や適正化▽診療報酬点数表における簡素化▽医療機関での褥瘡の発生状況―の5つで、いずれも12年度報酬改定の附帯意見で課題に挙げられたもの。「病院機能に合わせた効率的な入院医療の推進」には、7対1入院基本料の算定要件見直しに伴う経過措置の実態や、亜急性期入院医療管理料を再編した影響などが含まれている。
新たな分科会は、7月に初会合を開き、9月に調査票を作成して中医協総会に報告。年内に調査を開始して、13年度以降に総会へ結果を報告する予定だ。分科会と総会の役割分担について、厚生労働省保険局の鈴木康裕医療課長は、「調査、(結果に対する)一定の評価は(分科会が)するが、方針の決定、大枠の議論は中医協総会でやっていただく」と説明した。
これに対し、診療側の委員からは、調査項目を決めたり、調査結果を分析したりする際の最終決定権が、中医協総会にあることを明確に示すよう求める声が相次いだ。安達秀樹委員(京都府医師会副会長)は、以前の慢性期入院医療の包括評価分科会では調査結果について「厚労省の事務局により、恣意的な解釈が行われたことがある」と指摘し、「調査項目の設定の仕方、データ分析の在り方は、厳密な審査をしなければならない」とクギを刺した。
その上で安達委員は、12年度報酬改定で13対1、15対1の一般病棟の長期入院の評価体系を見直したことと、医療資源が乏しい地域にある小規模な医療機関に配慮して施設基準などを緩和したことが、「今後の重要な課題になってくる」との認識を示した。
一方、支払側の小林剛委員(全国健康保険協会理事長)は、「長期入院の是正に向けた実態調査を行うよう強く望んでいる」と述べた。【高崎慎也】
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