中央社会保険医療協議会の薬価専門部会は6日、2014年度の次回診療報酬改定に向けた検討項目に挙がっている長期収載品(後発医薬品のある先発医薬品)の薬価のあり方について検討を開始した。後発品と直接的な競合関係にある長期収載品の薬価は、後発品の使用促進をめぐる議論と関係するため、12年度までに30%以上とした国の後発品の数量シェア目標の新たな目標値の議論などと併せて、今年の秋、冬ごろに方向性をまとめる。
6日の意見交換では小林剛委員(全国健康保険協会理事長)が、長期収載品を後発品並みの価格にした場合の影響をシミュレーションし、資料として提示するよう要望。その上で、「後発品メーカーは(長期収載品と)同じ価格で競争できるのか、どれほど差があればやっていけるのかを問われる段階に入っている」と指摘した。
また、後発品の普及をさらに図るための制度が必要との認識を示し、厚労省に対し「諸外国の事例をまとめるだけでなく、日本での導入可能性を議論できるような資料を準備してほしい」と要望した。これに対し安達秀樹委員(京都府医師会副会長)は、先発品メーカーの新薬開発も考慮した上で議論すべきとした。
一方、製薬業界側の加茂谷佳明専門委員(塩野義製薬常務執行役員)は、特許期間中は条件付きで薬価を下げない「新薬創出・適応外薬解消等促進加算」が10年度改定で試行的に導入されたことなどによる環境変化で、「開発費の回収や捻出は従来、長期収載品に依存していたが、現在は新薬の特許期間中に回収する方向で、行動の転換を図っている状況」と説明。その上で、「スムーズな転換ができるような方向性を検討してほしい」と述べた。
現行の薬価制度上、長期収載品の薬価は特例ルールとして、初めて後発品が薬価収載された後の薬価改定時に、市場実勢価格に基づく算定値から、さらに平均5%程度追加で引き下げる「特例引き下げ」が行われている。
また、10年度、12年度改定では、特例引き下げに加え、後発医薬品の普及が不十分であることなどを理由に、それぞれ2.2%、0.86%追加で薬価が引き下げられた。【津川一馬】
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