医薬品の価格設定などへの費用対効果の評価の導入をめぐる議論が始まった。中央社会保険医療協議会(中医協、会長=森田朗・学習院大教授)は23日、「費用対効果評価専門部会」の初会合を開催。厚生労働省は、2014年度の次回診療報酬改定での費用対効果の評価の試行的導入に向け、秋ごろまでに論点整理を行うなどとしたスケジュール案を提示したが、委員からは「拙速な議論は避けてほしい」などと、慎重な検討を求める意見が相次いだ。
同専門部会では、まず診療報酬や薬価、保険医療材料価格について、費用対効果の、評価結果の活用方法や、評価手法など、各分野に共通するルールを策定する。
その後、診療報酬基本問題小委員会、薬価専門部会などで各分野の特性を踏まえた個別のルールをつくり、導入が決まった場合は、医療技術評価分科会や薬価算定組織などがこれらのルールに基づき、費用対効果の評価結果を活用した評価を行う。
導入の是非については、日本製薬工業協会が「性急な導入には反対」とする見解を4月に発表。23日の初会合では、診療側の鈴木邦彦委員(日本医師会常任理事)が「非常に大きな問題であり、次回改定での試行的導入ありきの前提で話を進めるべきではない」などと強調した上で、「考え方の大転換も必要なので、ぜひ慎重かつ十分な議論をしていただきたい」と述べ、その後も慎重な検討を求める声が相次いで上がった。
また、支払側の白川修二委員(健康保険組合連合会専務理事)は「現行の制度の問題について整理がないまま、突然、費用対効果の話が出て、少し混乱している」と述べ、費用対効果の導入を検討する目的を示すよう厚労省に求めた。【津川一馬】
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