研修医を迎え入れることは、将来の医療人材確保につながるため、全国の臨床研修指定病院は、魅力的な研修プラグラムをつくるなど、工夫を凝らしている。病院と学生の希望順位をコンピュータで一斉に付き合わせる「マッチング制度」では、おのずとマッチ率に関心が集まる。キャリアブレインでは、マッチ率が改善した病院がどのような取り組みをしているかを取材した。(君塚靖、多●正芳、●は木へんに朶)。
戸田中央総合病院(埼玉県戸田市)は、2010年に25%だったマッチ率が、11年に100%、いわゆる「フルマッチ」を達成した。 「マッチしなかった人に直接、連絡しました。何でうちの病院を選ばなかったのかと聞きました」―。
初期研修を担当する同院の高木融副院長は、マッチ率を改善させる施策を検討する上で、学生がなぜ、この病院を選ばなかったのかを分析する必要があると考えた。
マッチしなかった学生にヒアリングして、分かった事の一つは、選択期間の少ない研修プログラムにあった。そこで、初期研修2年目に8か月間、自由に選択できる期間なども盛り込んだ新しい研修プログラムに一新した。
高木氏は、こう説明する。
「学生はすでに自分のやりたいことを決めている学生にとっては、自分が望んでいない科は興味を示さない場合が多い。整形外科に決めているのに、他の診療科を回るのは苦痛に感じる場合もあると思われます。自分が学びたい科を多く選択できるようにプログラムを練り直しました」。
また、高木氏は、明かす。
「わたし達の病院を見学しないと始まらないし、良さも分かりません。わたしは東京医大出身で、学生時代はラグビーをやっていました。そこで後輩に見学するようにやさしく言ったのですがね(笑い)、たくさん見学に来てくれました。こだわったのが、昼食の時間です。食事は、先輩の研修医とだけで食べさせました。見学に来た学生にはこれが一番、受けています。なぜなら、現在研修を受けている医師からの直接生の声が聞けるからです。わたしは研修医には何を話せとか、何を話したかとかは一切言わないし、聞かないことにしています」。
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