2012年度診療報酬改定では、DPC制度の仕組みを大幅に見直す。具体的には、DPC対象病院の診療実績を踏まえ、「DPC病院1群」「同2群」「同3群」に分類。これらのグループごとに設定する「基礎係数」と、各病院の「機能評価係数2」で、包括部分の診療報酬を決める仕組みに段階的に切り替える。
基礎係数は、調整係数の見直し後にDPC対象病院の基本的な診療機能を評価する仕組み。DPC対象病院を、共通の機能や役割を持つ3グループに分類し、グループごとの診療実績を踏まえてそれぞれ基礎係数を設定する。
10年度の報酬改定では、調整係数の「上積み分」の4分の1を機能評価係数2に移行させている。DPC対象病院への大きな影響を抑えるため、12年度には改めて25%を移行。調整係数の置き換えは18年度に完了する。完全に切り替わるまでは、病院ごとの包括部分の評価を決める「医療機関別係数」は、「暫定調整係数」と機能評価係数1、同2を足し合わせて算出する形になる=図=。
3グループのうち、DPC病院1群に入るのは大学病院本院の80病院。また2群には、▽診療密度(一日当たり包括範囲出来高平均点数)▽高度な医療技術の実施▽医師の研修機能(特定機能病院は除外)▽重症者に対する診療機能-の要件をすべて満たす病院を組み込む。厚生労働省では、2群が約80病院、3群が約1300病院になるとみている。同省によると、各病院がどのグループに所属するかが明らかになるのは3月になる。
中央社会保険医療協議会では、DPC対象病院の診療機能を評価する機能評価係数2に、新たな項目を追加するかどうかも話し合ったが、12年度の追加は見送られた。
一方で、現在ある6項目のうち「データ提出指数」「地域医療指数」「救急医療指数」による評価方法を見直す。データ提出指数は現在、「部位不明・詳細不明コード」の使用割合が「40%以上」になると、この指数の評価を1年間にわたり5%少なくしている。12年度には、不明コードの使用割合の基準を「20%以上」に引き下げて厳しくする。また、入院患者の自宅がある地域の「郵便番号」などに関するデータ提出の状況も、評価対象に加える。新たな評価項目を周知して13年度から実施する方針だ。
DPC対象病院による外来診療のデータ(出来高点数)提出も促すため、DPC病院1群と同2群に提出を義務付ける。同3群には任意での提出を求める。
地域医療指数では従来の体制面に加え、地域医療にどれだけ貢献しているかなど、実績面の評価を始める。地域医療への貢献度は、地域内にある全DPC対象病院の入院患者のうち、各病院がどれだけ受け入れているかを評価の指標にする。
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