毎年、最も多くの日本人の命を奪い続ける病・がん。しかし、この厄介な疾患を克服し、新たな道を歩む人も年々、確実に増え続けている。がんという通過点を過ぎた先には、どんな“景色”が広がっているのか―。今でも成人T細胞白血病(ATL)の治療を続ける浅野史郎・慶大総合政策学部教授は、「ATLは、わたしに新しい『ライフ』を与えてくれた」と語る。(多●正芳、●は木へんに朶)
―ATLで入院されたのは、2009年のことでしたね。その際、病気については、どのように告知を受けたのでしょうか。
病気、それも急性型発症の告知は、東北大病院の張替秀郎医師から妻と一緒に受けました。09年5月26日のことでした。告知の言葉は、はっきりと耳に残っています。
「急性型が発症しました。治療を始めるべき時期が来ました。治るためには骨髄移植しかありません」
(残り3522字 / 全3901字)
この記事は有料会員限定です。
有料会員になると続きをお読みいただけます。
【関連記事】
【関連キーワード】