【元松阪市民病院 総合企画室 世古口務】
公立病院の赤字原因の1つに業務委託費の問題があります。ここ20年で、医療事務や入院患者給食、検体検査、物流、消毒・滅菌、医療廃棄物処理、警備などの各業務が外部委託されています。
また院内で専門職が育ちにくい分野として、医療機器や施設・設備、情報システムなどの保守管理業務があります。これらの人的サービスの業務委託費は本来であれば、それぞれの病院の業務範囲なので、業務委託費は言うなれば「形を変えた人件費」であり、「隠れた人件費」と呼ばれるゆえんです。
病院における業務委託は、本来人件費の削減、業務の効率化のために取られている方法ですが公立病院の場合には、病院経営の点から見て、本当にうまくいっているかどうか疑問点も多々見られます。
病院の開設主体別に見た業務委託比率の割合を示します=グラフ1=。
自治体病院(一般病院)での業務委託比率が、他の組織形態の病院に比し、際立って高いことが分かります。自治体病院(一般)の病床規模別に見た業務委託費比率の割合ですが、病床規模が小さいほど、委託費比率の割合が高くなっています=グラフ2=。
なぜ、公立病院での委託費比率が高いのか考えてみましょう。
理由その1 「これまで議会、本庁から、人件費比率が50%以下でないと、病院経営は難しい」との指摘がありました。
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次回配信は7月21日5:00を予定しています
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