【NPO法人メディカルコンソーシアムネットワークグループ理事長 山田隆司】
「広報は継続的な経営戦略である」と言われます。それもそのはず。病院広報ツールの代表的存在である広報誌には、実は6つの経営資源が詰め込まれています。(1)ヒト(2)モノ(3)カネ(4)情報(5)時間(6)「知的財産」。どれも経営の核となる要素です。継続的かつ効果的に広報誌を発行するためには、これらの資源が必要不可欠です。だとすれば、院内のマガジンラックに配置するだけではもったいないと思いませんか。もっと、広報誌には活躍の場があるはず。広報誌自体にも働いてもらいましょう。
ただし、即効性を求めることは現実的ではありません。広報の役割は一般社会とステークホルダー(利害関係者)とのより良い関係構築です。コミュニケーションを深め、信頼を獲得するのは、一朝一夕ではなかなか難しい。焦りは禁物です。しかしひとたび関係性ができれば、病院発信の情報を効果的に受け取っていただけます。伝え・伝わる環境を作り出す広報戦略。経営幹部の皆さん、ぜひ広報に関心を持っていただき、効果的に情報を伝える仕組み作り、始めませんか。
■どうすれば、もっと広報誌は活躍できる?
まずは、自院にとっての具体的なステークホルダーを設定しましょう。例えば、行政(自治体)の関係部署、記者クラブ、テレビ局、ラジオ局、医療系出版社、商工会議所、銀行、生命保険会社、大学、専門学校、自治会、町内会などなど。そこに広報担当者は面会のアポイントを申し入れましょう。面会の際には広報誌を片手に!をお忘れなく。
病院とステークホルダーをつなげるブリッジパーソンの役割を広報担当者は担っています。広報誌は、コミュニケーションの道具として非常に活躍します。面会時にさらっと取り出し、誌面を開いて、こんな会話はいかがでしょう。「当院ではこのような広報誌を定期的に発行しています。皆さまやこちらのお客様などのお役に立てるような情報を掲載していければと思います。つきましては、何か気になる医療のこと健康のことなどございましたらぜひお教えください。よろしければ今後、発行ごとに広報誌をお送りしてもよろしいでしょうか」。「いいえ、うちは結構です」と断られたことは、今までの私の経験上、ありません。
広報誌を送付する関係性を取り付け、定期的にコミュニケーションを続けていると、こんなことが起こります。
・特集記事を見たマスメディアから取材の申し込み
・特集記事をテーマにした、医師への講演依頼
・記事の転用による出版の企画・出版
・銀行・生命保険会社が主催する講演会に医師の定期的な講師依頼
・医療関連企業がスポンサーになっているFM番組に医師の出演依頼
・高齢者市民大学への講師依頼
・創刊から毎号、図書館のライブラリーに永久保存依頼
・大手企業健康保険組合より組合報への記事の転載(連載)
・県外の老舗漢方薬局から発行誌への記事転載(連載)
・県外の高齢者向けフリーペーパーへの記事転載(連載)
・医療経営専門誌より広報に関する原稿依頼(連載)
・病院広報関連の研究会、セミナーへの講演依頼
私が実際に体験した、広報誌が院外で「どんどん活躍」してくれた例です。
さて、患者さんやご家族、地域住民の皆さん、職員も大切なステークホルダーであることを忘れてはいけません。広報誌では「自院のネタ+健康生活のネタ、地域のネタ」を記事にすることによって、「読み物」として受け入れられるようになります。すると、こんなことが起こり始めます。
・発行日に退院した患者さんやご家族が広報誌を取りに来る
・患者さんの自宅に広報誌がライブラリーされている
・県外や遠方から広報誌の郵送依頼される
ここまでくれば、いろいろな人は広報誌のタイトルを見聞きするだけで病院名が記憶から頭に浮かぶようになります。
次は広報イベントについてです。さらに深く、関係を強化しましょう。
山田隆司(やまだ・たかし)
東京医学専門学校臨床検査科卒業。国家公務員共済組合連合会虎の門病院臨床検査部、診断薬会社、
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次回配信は5月19日5:00を予定しています
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